私がデジタルイラストを描き始めたのは4年前、30代になってから絵を練習し始めました。
左の絵は私が初めてデジタルで描いたエヴァンゲリオンの渚カヲルくんなのですが、自分の下手さとペンタブの難しさに心がポッキリ折れたのをよく覚えています。
過去の絵を同じ構図で描き直してみましたが、30代からデジタル絵を描き始めても上達することができました。
絵が短期間で上手くなる方法をよくネットで検索しても「たくさん描け」という解答ばかりですよね。「たくさん描くのはわかったから絵が早く上達するコツを教えてくれ~!」とずっと思っていました( ;∀;)
結局毎日絵は描きませんでしたが、自分なりに試行錯誤した結果デジタルイラストが上達したポイントをまとめました。「イラストがもっと上手くなりたい」という初心者向けの内容になりますが紹介させて頂きます。
- なぜ絵が下手に見えるのかを考える
- 絵が上手く見えるポイント
- イラストの練習方法
- イラストや風景の見方を変える
- 絵をSNSで人に見せる
- 素材を利用して楽しみながら漫画を描く
- おすすめのイラスト上達本
- 絵が上達しやすい作業環境
- まとめ
なぜ絵が下手に見えるのかを考える
なぜ絵が下手に見えてしまうのかを考えると、絵が上手く見えるポイントが見えてきます。
それでは私の素晴らしく下手なデジタルイラスト処女作を例に説明させて頂きます。
頭蓋骨を意識して髪の毛を描いていない
髪の毛を描くのに夢中になって頭蓋骨のラインを意識して描いていないので頭の形がおかしくなっています。
髪の生え方も不自然ですし、体に対して頭が大きいので下手に見えてしまいます。
顔の大きさの目安は顔の幅を1として、男性なら肩幅が1.8倍~2.5倍、女性は1.5倍~2倍くらいがバランスがいいです。
絵柄や体格にもよって肩幅は変わるので、遠目で見てバランスがおかしくなければOKですよ。
- 頭蓋骨のラインを下書きする
- 髪の流れを考える(前髪・サイドの髪・襟足)
- 肩幅は男性が顔の1.8倍~2.5倍、女性が1.5倍~2倍
手の指が描けず大きさが左右で違う
絵が下手だと手の指が描けないので全力でごまかします。しかし技術がないので、大抵ごまかしきれません。
暇さえあれば自分の手を見て、関節がどこにいくつあるのか理解しましょう。
よくある勘違いが指の根本の曲がる位置と、親指の関節の位置です。
拳を握った時に出っ張る関節の位置と、手の平から見た指の付け根は同じ位置ではありません。
最初は想像で指を描いて、よく複雑骨折した手を描いていました。
どんなに顔だけ上手く描いても、手が描けないと絵が下手なのがすぐにバレてしまうので、手はじっくり見て何度も練習しましょう。
- 自分の手を観察する
- 関節の位置と数を覚える
立体感が把握できていない
技術がないので何とかかっこよくしようと眼鏡とギターという小物アイテムを描いています。
しかし立体把握能力がないので、ギターのネックとボディの角度が合っていません。
眼鏡も耳にかけるラインが下に下がりすぎですし、眼鏡の形が左右違います。
小物を顔の位置や体の角度に合わせるのは結構難しいです。別レイヤーで描いたり、素材を使うのも手です。
新しい方の絵はセルシスのクリップスタジオペイントEX(クリスタ)で描いていて、エレキギターはクリスタの素材を使っています。
素材は無料のものから有料のものまでさまざまです。
私はギターなどの小物や背景が苦手なので、なるべく素材を使います。クリスタはブラシやペンのタッチ、トーンや3D素材など、無料でたくさんダウンロードできますよ。
線画を楽する代わりに、仕上げで線画の太さを調整したり、塗りで立体感を出すようにしています。
ズルいとか楽していると感じますか?しかしこれは「自分が何を上手くなりたいか」という目的もあると思います。
私は人物のイラストをまず上手く描きたいので、漫画やイラストには無料素材を積極的に利用するようになりました。
昔は全部手描きにこだわっていたのですが、描けなかったり時間がかかって完成しないことが多かったので、「1枚の絵として完成させる」ことを優先しています。
素材はネットで拾ったものを適当に使うのではなく、素材として配布しているものを使いましょう。人が描いたものを勝手にトレースすると著作権侵害になってしまいます。
フリー素材でも商用は不可という場合もあるので、利用規約を使用前に確認することが大切です。
- 小物は別レイヤーで描く
- 素材を利用する
- 素材の仕上げにこだわる
絵が上手く見えるポイント
絵で一番大事なのは顔のバランスです。
下手だった時の描き方は顔に適当に十字の線を引き、斜め左向きなら奥の目を少し小さく描いていました。
十字線もいいのですが、描くならきっちりバランスを取って描きましょう。
目のバランスも大きさの差をつけすぎると下手に見えてしまいます。私が顔のバランスをチェックする方法は以下の6つです。
- 左右反転する
- 縮小して全体を見る
- 目だけ別レイヤーで描いてバランスを調整する
- 目だけ表示してみる
- 眉毛と目の上下のバランスを見る
- 目の大きさのバランスを見る
とにかく色んな方法で顔のバランスはチェックします。顔さえ整っていればだいたい絵が上手く見えるからです。(猫の絵は超適当ですけど)
最初は顔のバランスがわからなくても、絵の見方を変えたり模写をしているとわかるようになってきました。
イラストの練習方法
イラストが早く上達する方法は模写をすることです。目で見てトレースする「目トレ」というやつですね。
写真は1年以上前に描いた食戟のソーマのイラストの模写です。同じものを見ながら描くだけなのに、これがなかなか上手く描けません。
絵がヘタだった頃は模写をかたくなにしていませんでした。
「自分の個性がなくなってしまうんじゃないか」と心配だったんですよね。しかし、模写をしても自分の絵柄が無くなることはないので安心してください。
絵柄が古いままの人は模写をあまりしていないと思います。人気の絵柄を模写して積極的に自分の絵を改善していくのがデジタルイラスト上達の近道です。
模写をする絵は一人ではなく、いろんな人の絵を真似して描くことがポイントです。好きなイラストレーターや、漫画家の絵を隣に置いてノートに描きます。
紙の下に絵を置いて線をなぞるのはあまり上達しません。必ず目で見て模写してください。
漫画を1ページ模写すると構図の勉強になりますし、アニメを見ながらお気に入りのシーンを模写するのもおすすめです。
描き終わったら、次は何も見ずにさっきと同じイラストを描いてください。
これを繰り返すと絵を描くポイントが掴めてきます。私の場合、1回目の模写で自分がどれほど考えずに線を描いているかわかりました。
イラストや風景の見方を変える
絵を描くようになって不思議に思うのが、手が全然描けないんですよね。
あんなに毎日見ている手が描けないのは、自分が今まで絵を描くための見方をしていなかったからです。
服の皺が描けないのはシワを描くための観察をしていないからだし、老人が描けないのは老人を観察していないからです。
アニメやイラストを見る時は頭身のバランスをつかむためにシルエットを見たり、電車の待ち時間は前にいる人の服の皺を観察しましょう。
そうすると、イラストで描く時に体や服のシワがどういう線になるのかとか、体のバランスの取り方がわかるようになってきます。
最初は想像で描くことが多かったのですが、今は写真や資料を見て納得してから描くことを意識するようになりました。パクリではなく参考にする感じです。
絵をSNSで人に見せる
描いた絵を誰にも見せずにいるとなかなか上達しません。
私が初めて描いた絵は誰にも見せることなく終了したのですが、2枚目以降は積極的に公開するようにしました。
下手でも誰かに見せることによって「見せられる絵を描こう」という意識が働きます。
TwitterやPixivに絵をアップすると、自分の絵を客観的に見れるようになるのでおすすめです。
描いた絵をアップする時にこんな一言をつけて絵を投稿してはいないでしょうか。
- 急いで描いたから雑になった
- 落書きですが…
- 下手ですが…
- 低クオリティーですが…
絵に保険をかけていろいろ言いたくなる気持ちすごくわかります!(ノД`)
逆にこういう言葉って「自分の絵はまだまだこんなもんじゃない!」という意識の高さから出てしまうのかもしれません。
しかし、下手な絵を言い訳して自分まで納得させていてはなかなか上達しません。
自分が一番上手く描けたと思える絵をいつでも人に見せられるように頑張りましょう。
投稿した後はダメなところがないか自分の絵をじっくり観察して、バランスが悪いところは描き直す。この繰り返しが大切です。
文豪見て久しぶりにアナログ描いたけどやっぱりデジタルじゃないと無理… pic.twitter.com/WTkgCWv4uq
— 猫野きなこ (@kinako22neko) 2016年11月22日
まあ私もめっちゃ言い訳しますけどね…。
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素材を利用して楽しみながら漫画を描く
漫画を描くといろんな構図にぶち当たるので、絵が早く上手くなります。
顔漫画ではなく全身を入れたり、下から見上げる「あおり」や上から見下ろす「ふかん」の構図も描くようにしましょう。
描きたいオリジナルストーリーが思い浮かばない時は、同人誌などの二次創作にチャレンジするのもおすすめです。
キャラクターが決まっている漫画はストーリーが思い浮かびやすいので、漫画を描くハードルが低くなります。
楽しみながら絵を練習できますし、絵を描く友達も作りやすいですよ。
最初は背景なんて描けないと思います。私はDVD付きの素材やフリーのデッサン本をよく活用していました。
漫画を描いているとどうしても素材では無理な構図もあるので手描きしますが、背景は未だに苦手です。しかし楽しんで描くことが大切なので、素材は積極的に利用していいと思います。
私がよく漫画で使用するおすすめの素材集の本は以下の3冊です。
この素材はDVDがついているので、読み込むだけで背景が完成します。線画のレイヤーの種類が多く、使いやすくて便利です。
学園ものの漫画を描く時によく使います。
住宅や路上のシーンを描く時に何件もの家を描くのは大変です。
こちらもCDROM付きなので、読み込んで貼り付けるだけで背景が完成します。
デートのシーンや通学のシーンを描く時に便利です。
スカーレット・ベリ子先生のデッサン集はこの他にも何冊か持っています。
2体の絡みのシーンはすごく難しいので、最初はデッサン本を参考にして描くと自信がつきやすいです。
絵の技術がない時に2体以上の絵にチャレンジするとこれじゃない感がすごいので落ち込んだり作業が進まなかったりします。
上達するきっかけとして、こういう素材の力を借りることは悪いことではありません。
おすすめのイラスト上達本
私は絵がド下手だったので、イラストや絵が上達する本をたくさん買いました。
注文カードが本から覗いていますが、栞としてそのまま使うものぐさなだけでちゃんと読んでますよ!(‘ェ’;)
中にはイマイチだったな~という本もありますが、イラストの上達に特におすすめの本を何冊か紹介させて頂きます。
キャラクターデザインやゲーム原画を描いているイラストレーター夏生先生のイラスト講座本です。
動きや表情、構図、イラストの塗り方などすごく参考になりました! 丁寧でわかりやすいので、初心者におすすめの本です。
アジアンカンフージェネレーションのアルバムや、謎解きはディーナーの後でのイラストを描いている中村佑介先生が丁寧に作品を添削しているイラストの解説本です。
アドバイス通りに直した絵がぐっとよくなるのが面白いですよ。
カラーバランスやおしゃれなイラストの描き方の参考になります。
絵を描く上で意識しないと上手くならないのが、骨格や筋肉です。 これは漫画やアニメではなかなか知ることができないので、 美術解剖学の本を参考にしています。
この本には体のあらゆる骨格や筋肉が詳しく載っているので重宝しています。
イラストを描く時におしゃれな構図ってどうやって描くのかわかりませんでした。
一気に目をひくカバーデザインという本はタイトルの入れ方や人物の構図、色から連想するイメージなどが詳しく解説されています。
色や構図をずっと適当に描いていましたが、これを読んでから「絵がよくなったね」と褒められる事が増えました。
絵が上達しやすい作業環境
作業環境は自分が描きやすいものを選ぶようにしましょう。
私の場合は作業環境を整えることによって絵が描きやすくなり、作業効率がアップしました。
たくさん絵を描く環境を整えれば上達スピードもアップします。参考になるかわかりませんが、使用している私の作業環境を紹介させて頂きます。
デュアルディスプレイにする
絵を描くなら画面が2つ以上あるデュアルディスプレイにするのがおすすめです。
資料や見本を見ながら絵を描くことができるので、非常に効率がいいです。この便利さを知るともう1つの画面で絵が描けなくなります。
私が使用しているメインのディスプレイです。安くてモニターの高さも丁度いいです。
ブルーライトを軽減する機能もついているので、線画やトーンの時に使用すると目が楽ですよ。
ケーブルは自分のパソコンの差込口に合うものを確認して購入してください。
ペンタブを少しいいものにする
ペンタブレットは最初5000円位の安いものを使用していましたが、少しいいワコムのペンタブに変えたら狙った場所に線が引けるようになって感動しました。
絵を描くのが楽しくなりましたし、線画が早くなったのを実感しています。
ペンタブはワコムのIntuos5のSサイズを使用しています。Sサイズでも結構大きいです。
ある程度慣れてから高いものを買ってもいいのですが、上達スピードを重視するなら描きやすいペンタブがおすすめです。
液タブもいいのかなと思いますが、ずっと使っている人が「頚椎や首を痛めやすい」と言っていたので迷うところですね。
デッサン人形で構図を克服する
構図のイメージってなかなか頭に思い浮かびにくい時があります。
そんな時はウルトラマンの人形を使うようにしています。
この人形いろんなポーズが取れるんですよ。絵描きさんは結構持ってますよね。
どうしても構図が描けない時はウルトラマンにポーズを取らせてからスマホで写真を撮って描いたりしてます。
まとめ
いろいろ偉そうにアドバイスしましたが、私もデッサンがおかしいところがたくさんありますし、技術的にもまだまだ上手くありません。
上手い人は無限にいるので、自分の絵と比べて落ち込むことがあると思います。
SNSで投稿したらいいねやRTがもらえず、たくさんもらえる人に嫉妬することもあるでしょう。
しかし、絵を比べるなら過去の自分の絵と比べるようにしてください。
過去の絵を恥ずかしいとか下手だと感じることができるのは自分が成長できた証拠です。
現状に満足せず、自分の絵で常に直せるところを探し、顔や体のバランスに最後までこだわることが大切だと思います。
30代でも絵が上達できるので、10代20代ならもっと早く上達できます。40代50代から始めても決して遅くありません。
一緒にデジタルイラストを楽しんで練習していきましょう!(*ฅ́˘ฅ̀*)
↓頂いたコメントについて続き描きました。